さよならレイジーマンデイ

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【レッド・デッド・リデンプション2】チャプター6までクリアしたので感想を書いてみる(ネタバレあり)

…何時間ぐらいかかったでしょうか。

 

感覚的には100時間弱をかけて、チャプター6(本編)をクリアしたので、その感想を書いてみます。本記事には、重大なネタバレが含まれているため、まだクリアしていない人は、ここで引き返してください。

 

なお、チャプター6をクリアすると、本編後のストーリーを描いたエピローグをプレイできるんですが、これをクリアしたら、RDR2に対する最終的な感想とレビューをまとめようと思います。

 

西部開拓時代の終わりがもたらしたもの

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カウボーイやアウトローが大暴れする西部開拓時代(ワイルド・ウェスト)は、1890年、フロンティア(未開拓地)の消滅によって終焉を迎えました。

辺境の地に文明が侵入し、法による秩序がアメリカ全土を支配する時代となったわけです。これは、文明人にとっては新たな時代の幕開けを意味し、アウトローにとっては自分たちの時代の終わりを意味しました。

 

RDR2で描かれている世界は、とっくの昔に開拓時代が終わっている "1899年" です。つまり、銀行強盗に失敗し、その身を追われることになってしまったダッチ・ギャング一味は、社会から抹殺される運命を突き進むしかなく、ゲーム開始時点で既に終わっている存在と言っても過言ではありません。

敵対するギャングから命を狙われ、ピンカートン(秘密探偵)による捜査が目前まで迫るなど、絶望を覚える状況の中で生きていかなければなりません。普通だったら、諦めて投降したくなるところですが、ダッチ・ギャングの希望の灯は消えていませんでした。何故なら、ダッチというリーダーがいたからです。

 

ダッチという男

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正直なところ、私は、ダッチが優秀な男だとは思えません。

計画の立て方は杜撰だし、思いつきで行動しているようにすら思えます。実際のところ、ブラックウォーターの銀行強盗に失敗しているのだから、この時点で、ギャング団のメンバーから愛想を尽かされたとしてもおかしくはないと思います(ちなみに、本編において、最も高額のお金を入手できるバレンタインの銀行強盗もダッチの立案ではありません)。

 

時代が時代であれば、誰もダッチのことを相手にしないと思えますが、なぜ、アーサーをはじめ、ギャング団のメンバーはダッチに付いていくのでしょうか。拾ってもらった恩があるからか。血の結束か。忠誠か。

私はそのいずれも違うと思っています。西部開拓時代の終わりとともに、自らの居場所を失い、これからどこへ向かえば良いのか分からない状況において、唯一ダッチだけが進むべき方向を言葉で示したからです。

暗闇の洞窟の中を彷徨っているとき、出口の光が見えたら、人はその光に向かって進むでしょう。ダッチとはそのように暗闇を照らす光であり、吸い寄せられるかのように、ギャング団はダッチに追従したんだと思います。逆に言えば、それ以外に選択肢など無かったのです。

 

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仲間がさらわれたとなれば、命懸けで仲間を取り戻そうと奮闘し、仲間のためなら人殺しすら厭わないダッチ。そんな情に厚いダッチのセリフで印象に残っているものがあります。

サンドニを裏で取り仕切っているブロンテというイタリア人から、邪魔者を消して欲しいと依頼されたことに対し、ダッチは、「納得できるなら引き受けるが、納得できないならやらない」「俺たちは殺し屋じゃない」と言い放ちます。

いくら逃走資金が必要とはいえ、金の為にプライドまで捨てるつもりはないという、ダッチの意地が垣間見えた瞬間でした。

 

アーサーによる3つのけじめ

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後半になるにつれて、ダッチ・ギャングの置かれている状況はますます厳しいものとなってきます。

コルム一味やピンカートン(コーンウォールの差し金)にアジトを襲撃され、一発逆転を狙った銀行強盗がまたもや失敗に終わり、これまで苦楽を共にしてきた大切な仲間もたくさん失います。まさに八方塞がりの状況です。誰の目にもダッチ・ギャングの終末は明らかでした。

 

それと時期を同じくして、アーサーは結核を患ってしまいます。投薬による結核治療が可能となったのは第2次世界大戦後であり、それまでは全く打つ手がない不治の病でした。おそらく、この時点でアーサーは、ダッチ・ギャングの終末だけでなく、自らの死期も悟ったんだと思います。

さて、ダッチ・ギャングだけでなく、自分も滅んでしまうことを悟ったアーサーは、つのけじめを付けなければなりませんでした。少なくとも私にはそう思えます。

 

1.自分自身の過去とのけじめ

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まず、過去に対するけじめです。

「過去に対するけじめ」とは、これまで歩んできたアウトロー人生との決別を意味します。アーサーは、最愛の妻・メアリーとやり直すことも一瞬頭をかすめたかもしれませんが、死期を悟ってからは、完全に過去と決別することを決めたのではないでしょうか。

 

アーサーが、贖罪を求めていたかどうかは、よく分かりません。助けた人から「あなたは善人だ」と褒められても、アーサーは、「お前は本当の俺を知らない」「俺は善人なんかじゃない」と突き放します。自らが犯した罪から解放されることは無いと悟っているかのような口ぶりです。

他方で、過去に借金を回収するために殺害した男(この男に結核をうつされた)の妻イーディスとその息子アーチーを助けるというミッションにおいて、ここを離れて別の場所で暮らせと、親子に金を渡すシーンがあるんですが、アーサーは、「Get out of here! don't thank me!(礼は要らないから、この街から出ていけ!)」と苛立った様子を見せます。

私には、このときの苛立ちが自分自身に向けられたもののように見えました。金を渡して、この親子を救ったところで、自らの運命から逃れられるわけでもなく、ましてや、結核に感染してしまったのは、この家族に関わったことが原因です。でも、金を渡さざるをえない。俺は一体何をやっているんだろうと。

「この親子に金を渡すことで、少しでも自分の罪が軽くなるなら」。そんなアーサーの淡い願いが垣間見えたような瞬間でもありました。

 

2.仲間とのけじめ

次に、仲間とのけじめです。

ダッチ・ギャングの終末は目に見えています。そこで、アーサーは、まだ未来のある仲間をギャングから脱出させることを企図しました。まだ幼い子どもを持つジョン・マーストン(前作の主人公)がその筆頭です。

アーサーは、ジョンに対して「何かあったら逃げろ」と諭します。私には、最愛の妻と息子を失くした自分と同じ道を歩むなと言っているように聞こえました(その意志を継ぐかのように、ジョンは、牧場経営者という真っ当な人生を歩んでいくことになります)。

 

3.ダッチとのけじめ

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最後に、ダッチとのけじめです。

これまで絶対の信頼を置いてきたダッチは、自らの保身に走り、仲間のことを見捨てるような冷酷な男になってしまいました。元からそういう男だったのか、厳しい逃走生活が彼を変えたのか、それは分かりません。

アーサーは、自分が死のうが生き延びようが、ダッチとの決別を心に決めていたと思います。もうお互いの進む道は違うのだと。

 

そんなところに、ピンカートンのミルトン捜査官から、マイカが内偵者であったことを暴露されます。この事実を知ったアーサーは、キャンプへ馬を走らせ、マイカを問い詰め、ダッチにどちらを信じるのか選択を迫ります。緊迫した場面です。

ここからは私の想像です。アーサーは、変わってしまったダッチを目の当たりにしつつも、かつてのダッチのように、最後は自分を選んでくれると信じていたのではないでしょうか。それが、アーサーにとっての一番の贖罪だったのかもしれません。

なお、ダッチは、最終的にアーサーを撃つでもなく、マイカとともに逃げるでもなく、「人生の全てをあんたに捧げた」と今際の言葉を吐くアーサーを目にして、苦渋の表情を浮かべながら、一人でその場を後にします。一体どんな感情が胸に去来していたのでしょうか。

 

そして、エピローグへ…。

最後は、アーサーとともにダッチと敵対し、ギャング団を去ったジョン。

エピローグでは、妻・アビゲイルと息子・ジャックと一緒にまともな人生を送ろうと奮闘する様子が描かれています。本作と前作との間のストーリーということでしょう。

 

言うまでもありませんが、ジョンはもはや「何者」でもありません。アビゲイルとジャックが安心して暮らせるように、銀行に借金してまで荒地を購入し、コツコツとお金を稼いでいるだけの男です。

おそらくそれは、アーサーが目指した暮らしなんでしょう。そして、それが分かっているからこそ、ジョンは、果たされることのなかったアーサーの意志を継ぐかのように、今日もアーサーの形見の帽子を被って精を出しています。