さよならレイジーマンデイ

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家庭用ゲーム機が売れなくなった理由と今後について語るよ。

本日は、珍しく真面目な話題を取り上げてみようと思う。

ずばり、「何故、家庭用ゲーム機は売れなくなったのか?」「今後、家庭用ゲーム機はどういう運命を辿るのか?」というお話。

 

(「ファミ通」2018年国内家庭用ゲーム市場規模速報 より引用)

 

まずは、ざっくりと家庭用ゲーム市場の概況を見てみよう。

2018年、ハード機の売上こそ前年から減少で推移したが、ソフトの売れ行きは依然として上向きであり、直近5年間の中でも、高い水準を維持していることが分かる。

これだけを見れば、まだまだ成長市場のように感じないこともない。実際、海外に目を移せば、家庭用ゲーム市場はまだまだ拡大傾向にあると分析する専門家もいる。 ただね…。

 

 

日本国内の市場に限って言えば、それは無い!(笑)

 

 

言い切ってもいい。

これ以上、家庭用ゲーム市場規模が拡大していくことはないし、それどころか衰退していく市場である、と。何故、そう言い切れるのかを語ってみる。

 

家庭用据置型ゲーム機を買っているのは誰か?

家庭用ゲーム市場が衰退していく理由を説明するために、据置型ゲーム機を所有している年齢別・世帯年収別の統計データを参照してみる。

 

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(「平成29年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」情報通信政策研究所より引用)

 

総務省の調べによると、ゲーム機の所有率が飛び抜けて高いのは「10代」「30代」「40代」となっている。他の世代を突き放し、いずれも6割を超えている。

これが、家庭用ゲーム市場の第1の特徴だ。

 

何故、10代、30代、40代の所有率が高いのかと言うと、凄く単純な話だが、子どもと同居している30代・40代の親が、子どもにゲーム機を買い与えているからである。

(だから、両者の所有率の数値は近しく、且つ、30代・40代の利用率は低くなっている)。

 

要するに、「親が子どもにゲーム機を買い与える」という商売の図式は、ファミコンを売っていた時代とそんなに変わらず、ある程度、普遍的なものと言える。

2017年にハード機の売上が伸びたのも、家族で遊べるパーティーゲームを多く展開している「Nintendo Switch」を買い求める親が増えたからである。

 

つまり、家庭用ゲーム市場は、子どもの数(及びその親の経済状況)に大きく左右される。子ども(及びその親の可処分所得)が減れば、市場も冷え込むし、増えればその逆になる。

今後、少子化が加速すると言われている中で、家庭用ゲーム市場が伸びていく可能性なんて1ミリもないのだ。これが1つ目の理由。

 

スマホゲームが隆盛している本当の理由とは?

他方で、「やりたいゲームソフトが少なくなって、家庭用ゲーム機を購入する動機が薄れてしまった」「スマホが普及したことによって、スマホゲームにユーザーが流れてしまった」と言う人もいる。

要するに、20~40代ぐらいの独身層が、家庭用ゲームに見切りをつけて、スマホゲームに流れてしまったせいで、家庭用ゲームが衰退した…という論理だ。

 

この理屈を押し進めていくと、更にこう考える人が出てくる。

「ということは、家庭用ゲーム機を購入するメリットを示すことが出来れば、スマホユーザーを取り込むことができ、少子化の煽りを軽減できる」と。実際、そういう論調で書かれた記事もいくつかある。

 

確かに主戦場はスマホです。ファミ通が17年6月に発表した「ファミ通ゲーム白書」によると、16年の国内ゲーム市場全体は過去最高の1兆3801億円となりました。そのうちオンラインゲームが約75%を占めています。

しかし、通勤電車の中などで遊べるパズルゲームや、常時ネットで他人とやりとりするゲームに飽きたり疲れたりする人も出始めています。そうした人が家庭用ゲームの楽しさを再発見しているからです。

売れる家庭用ゲーム機、「生活必需品」じゃないのになぜ? スマホ疲れの事情とは」Yahoo! Japan News

 

まあね、「スマホゲームに飽きたから、据え置きゲームをやろう」と思う人は一定数いるかもしれない。

そういう人に対して、家庭用ゲーム機を購入するメリットを訴えることは効果的だと思う。「FF7のリメイク出すで~!」って宣伝すれば、心揺さぶられる人も少なくないはず。

 

 

だけど、はっきり言って、その見通しは甘いと言わざるを得ない。

 

100%間違いとは言わないが、そのような方策で家庭用ゲーム市場が復調することはないと思う。

 「家庭用ゲーム機の優位性を示せば、スマホゲームから戻ってきてくれるに違いない」とか、そんな単純な話ではない。スマホゲームが隆盛しているのには、もっと深刻な理由があることを我々は知らなければならない。

 

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先ほどの総務省のデータをもう一度見て欲しい。

 

世帯年収別の所有率を見たときに、年収が高い世帯ほどゲーム機所有率が高く、年収が低い世帯ほどゲーム機所有率が低くなっていることが分かる。

特筆すべきは、「年収400万円以上」と「年収400万円未満」の差である。両者のゲーム機所有率を比較したときに、そこに何かの壁があるかのように、20%近くもガクンと落ち込んでいる(58.6%→41.4%)。

 

要するに、年収400万円未満の家庭では、単なる娯楽費に過ぎない家庭用ゲームにお金を回す余裕がなく、生活必需品であるスマホやネット通信費の支出でギリギリということだ。

これが、家庭用ゲームからスマホゲームにユーザーが流れた大きな理由であり、家庭用ゲーム市場の第2の特徴である。

 

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これは、日本人の年収別の割合を示したグラフだが、400万円以下の人が全体の約60%300万円以下の人が全体の約40%を占めている。

 

年収が400万円ぐらいあれば、たとえ1人暮らしでも、贅沢をしない限り、ある程度自由に使えるお金があるが、年収300万円以下だと、かなり厳しい。

私も、年収200~300万円でヒーヒー言っていた時期があったが、ゲーム機を買う余裕なんて本当に無かった。生活必需品ではないゲームに使えるお金なんてほとんど手元に残らないからだ。

こういう低収入層が、日本人の大半を占めている事実をまず確認しなければならない。

 

じゃあ、そういう低収入層が、本当に「スマホゲームで十分」と思っているかと言うと、「決してそんなことは無い」と念を押しておく。

低収入層は、スマホゲームと家庭用ゲームの両者を比較して、最終的にスマホゲームを選んだわけじゃない。そもそも、最初からスマホゲーム "しか" 選択肢がないのだ。ここをはき違えたらいけない。

 

もっと端的に言えば、「買わない」んじゃなくて、「買えない」のだ。

スマホゲームに満足している人も、家庭用ゲーム機を買えるんだったら、それに越したことはない。決して欲しくないわけじゃないからだ。

例えば、PS4が3,000円ぐらいで投げ売りされていたら、さすがに買うだろう。利用するかどうか分からなくても。

 

実際は、利用するかどうか分からない家庭用ゲーム機のために、ポンと3~4万円のお金を "気軽に" 出せないということである。

その人たちが、「スマホゲームがあるから別に良いや」と言っているのを、家庭用ゲームに対するニーズが低下したと額面通りに受け取るのは早計である。家庭用ゲーム機のメリットを示したところで(面白いゲームソフトをリリースしたところで)、買えないものは買えない。

 

1つの例として、私の友人A君を紹介したい。

A君は、非正規として働いており、年収は200万円ほど。実家で暮らしているため、生活に支障はないが、貯金は月1万円できたら良い方だと言っていた。私も同じような時があったので、よく分かる。

 

仮に、月に1万円貯金出来たとしても、年間で12万円程度。月によっては、突発的な出費(医療費など)もあるだろうから、実際は12万円を下回ると思われる。

もし、家庭用ゲーム機+ゲームソフト数本を購入すれば、それだけで4~5万円かかる。年間貯金額の半分近くを占める計算になる。

実際のところ、A君は、家庭用ゲーム機を一切持っておらず、スマホゲームをメインでやっているが、「出来ればPS4を買いたいし、FF7のリメイクをやりたい」「でも、それだけのためにPS4を買うのは躊躇する」と漏らしていた。それが偽らざる本音だと思う。

 

今後、PS5の発売が噂されているけれど、家庭用ハード機が高性能化していけば、価格もどんどん高騰し、ますます低収入層は手が出せなくなる。やりたいゲームがあるかどうかなんて関係がない。

非正規雇用が増加し、日本人の収入がどんどん低下している今日において、家庭用ゲーム市場が拡大していく見込みなんてほぼ無いのだ。これが2つ目の理由。

 

「家庭用ゲーム機」は天然記念物化する。

以上を簡単に要約するなら、 国内の家庭用ゲーム市場が衰退する理由は、「少子化」と「貧困化」の2つということになるだろうか。

 

これに対して、「年齢を重ねるにつれて、自然とゲームをやらなくなった」「忙しくてゲームをやっている時間なんて無い」と、別の理由を挙げる人も居ると思う。

あるいは、「ゲーム機を買う金銭的余裕はあるけれど、興味を惹かれるゲームソフトが(本当に)ない」って言う人が居るのも分かっている。

 

ただ、そういう人たちに振り向いてもらう努力をしても、少子化と貧困化の影響が大きすぎて、市場成長には繋がっていかないと思う。

 

じゃあ、家庭用ゲーム機は今後どうなっていくのか。

 

家庭用ゲーム機の需要がゼロになることはないと思うけれど、クラウドゲームなどに取って代わられて、最終的には、天然記念物化するんじゃないかと予想している。

 

例えば、Kindleの電子書籍リーダーは、電子書籍リーダーに特化した端末であって、それ以外の用途は存在しない。電子書籍だけじゃなくて、動画を見たり、メールを打ったりするなら、タブレットを買った方が便利だし、そっちの方が色んなことができるぶん上位機種といえる。

他方で、電子書籍を読むことにめちゃくちゃこだわる人もいる。「どうしてもKindleの端末じゃないとダメ!」って人もいて、そういう人のニーズに応えるという意味では、電子書籍リーダーに特化した端末にも存在価値はある。

家庭用ゲーム機もそういう存在になっていくんじゃないかと思う。「ゲームをやるなら、PS4じゃないと嫌!」みたいなね。無論、私は、家庭用ゲーム機でゲームを続けるけどね。